8つ目のシリンダー、中身は想ひ出。




 俺は何故か突然、マリアに呼び出しを食らった。
何なのだろうか。これからの方針についての話し合いか。
それなら別に構わない。だが、何時ぞやのように、ボクサーパンツ
一丁にさせられて絵のモデルにさせられてしまうのだろうか。今回も
ものすご〜くイヤな予感がする。俺の勘はよく当たるが、今回はなんとなく
当たってほしくない。

 こうやって、ディプロのマリアの部屋に入るのは、どれくらいぶりか。
たしか以前、最後に入ったのは、まだアイツが19になりたてのときで
眠れないからと言って、無理矢理、子守唄を歌わせられたとき以来だ。
・・・まあ、最近なんだがな。
今回は何なんだろう。また、トムとジェリーごっこをさせられるのか?それ
とも、かちかち山を朗読せにゃならんのか?とりあえず、部屋の中に入ろう。

「俺だ。」

「待ってたわ。入って。」

 俺がドアをゴンゴンと二回ノックすると、部屋からはいつものマリアの声が
聞こえてきた。声質は割りと明るめだ。深刻な相談の類ではないと思われる。
そして、ドアが開き、中へと入る。

「どうした。俺に何か話しでもあんのか?」

「まあ、そんなところかしらね。とりあえずかけて。」

 マリアにそう言われて、俺は用意してある椅子に腰を掛けた。
いつもの、キティーちゃんの絵が入ってある椅子だ。まだ、マリアが14の時
に俺が買ってやったヤツだ。しっかりと手入れが施されてあり、大切に扱わ
れている。嬉しいことだ。

「で、どうかしたのか?」

「ええ。最近、あなた。ちっとも私に構ってくれないじゃない。」

 いきなりそれか。
だいたい、19にもなって何故俺が構ってやらなきゃならねぇんだ?
だが、それはタブーらしい。以前、そう言ったら、マリアが突然、涙目になっ
ていて、俺は珍しくパニくった記憶がある。
それに、ここんところ、色々あって構ってやれねえだろ?

「で、構ってほしいのか?」

「そうよ。」

 ストレートだな。
まあ、それがこいつのいい所でもあるんだが。

「それで、何をしてほしいんだ?」

「そうねえ、それじゃあ、ディズニーシーへ行きたいわ。」

「おいおい、今はそういう時じゃねえだろ?」

「たしかにね。今はそういうシーズンじゃないわよね。それじゃ、志摩スペイ
ン村とか、スペースワールドとか、あと、ねぶた祭りもいいわね。クリフはど
れがいいと思う?」

 いや、そういう問題じゃねぇ。

「おいおい、俺が言いてえのは、そういうことをしている暇はねえってことだ。
今は大切な目的があんだろ?」

「あ、そうだったわね。」

”そうだったわね”じゃねえだろ。テヘへと笑いを浮かべてやがる。

「まあ、創造主とやらをぶっ潰した後にでも連れてってやるよ。」

「ホント?約束よ。」

 そう言って指切りをさせられる。・・・俺も、コイツには本当に甘いな。
マリアと指きりをすると、絶対に約束を守んなきゃ、後で酷い目に合わせら
れる。過去に一回だけ、約束の時間に30秒程遅れて、2日入院させられた
ことがある。
・・・・・・・っていい加減指を離してくれないか?いつまでやってるつもりだ!
・・・・・・・って、おい!唇を近づけるな!誰かに見られたら誤解されるだろ!

 そして、10分が過ぎた。やっと指を離してもらえた。

「じゃあ、今晩は一緒に寝ましょう?」

”じゃあ”ってなんだ!ねぶた祭りだけでは不満なのか!

「おい!それはさすがにマズイんじゃねえか?お前はもう、年頃の女になっ
たんだし。」

「別にいいじゃない。こないだまで、一緒に寝ていた訳だし。」

 それは、俺が眠ってから、勝手にお前が布団の中に入って来るんだろうが!
朝起きたときは、ビビリまくったもんだぜ。その日から大変だったんだぞ!リー
ベルには冷たい目で見られるわ、女は連れ込めねえわ、マリエッタには”クリフ
さんがそんな人だとは思いませんでした・・・”なんて言われるわで、胃に穴が開
きそうだったぜ。実際、開いたがな。

「それはお前が勝手に入って来るんだろうが。ダメなもんはダメだ!」

「・・・ネルとは、一緒に寝てるくせに・・・」

 待て。
そんな痛いところを突くな!

「いや、・・・まあ、あれには大人の事情ってモンがあんだよ。」

「彼女は4つ年上なのよ。だから、私はまだ子供でしょ。だったら、私と一緒
に寝てくれたって問題ないわ。」

 意味がわからん。

「とりあえず、ダメなもんはダ〜メだ!」

「わかったわ。それじゃ、一緒にお風呂に入ってくれるだけでいいわ。」

 待て。真剣に待て。
そっちの方が、余計にマズイ気がする。
風呂に入るんだぞ!裸になるんだぞ!思春期も過ぎた女なんだぞ一応!
自覚はあるのか!いくら、親子みたいな関係とはいえ、それは本気でマズイ!

「おいおいおいおい!それはマズ」

 コンコンコン
俺が続きを言おうとしたところいきなりドアがノックされた。

「誰?何?」

「リーベルです!リーダー!!!」

 外からは、リーベルの声がする。

「風呂の用意が完了しましたので報告に来ました!!それと、アルベルさんと
ネルさんの嘔吐物の処理もしておきました!!!何というか、早くあの人達の
宇宙船酔いが治ってほしいです!!!!!」

「そう。ありがとう、ごくろうさま。」

「と、ところでリーダー・・・。えっと、オ、オレで良ければ、お背中を流したりしま
すが・・・」

「じゃあ、後は廊下掃除と、窓拭きと、皿洗いと、ビデオの予約と、洗濯と、靴
磨きと、ピーちゃんのエサやりをお願いね。」

「ガーン!!!!了解です・・・」

 マリアはリーベルの決死の誘いを完全無視する。
それ以前、そんなことを言うアイツもアイツなのだが。っていうか、”ガーン”っ
て口に出して言うな。

「それじゃ、行きましょ。」

「行きましょって、何処へだ?」

「決まってるじゃない。一緒にお風呂よ。」

 俺が拒否をしようとするその前に、俺はいつの間にか、腰にタオル一丁とい
う入浴スタイルにさせられていた。これもアルティネイションの力なのか。
で、俺は風呂の脱衣所まで連行される。













「さあ、着い」

 マリアがそう言ってる途中で、突然。
マリアが立っている床が開き、マリアは”キャー”と叫びながら穴に落ちてい
った。これは、あきらかにトラップだ。

ウイーン

 この穴の下から、誰かがエレベーターに乗って昇ってくる。
・・・タオル一枚すら、身につけていない完全全裸のフェイトだ。

「さあ、マリアは急用でいなくなったから、僕と一緒に入ろうよ。」

 そして俺は、フェイトに腕を引っ張られ、風呂のドアを開ける。そこには、
湯煙に包まれながら、誰かが湯に浸かっていた。

「・・・アルベル。」

「・・・たまにはお前(クリフ)と湯に浸かりながら、男二人で話しでもしようと
思ってな。だから、クソ虫(フェイト)はさっさとどっか行け。」

 風呂に浸かっているアルベルが色っぽく思えたが、どうでも良かった。
・・・もう一つ、後ろに気配を感じる。

「・・・・・・・・嬢ちゃん。」

「あ、いえ、その・・・クリフさんのお背中でも流そうと思いまして・・・。」

 嬢ちゃんにこの時は何だか、甘えたかった。
・・・・・・・もう一つ、影が現れる。

「・・・あんた。よくモテるじゃないか。男にも女にも・・・」

「ネル・・・」

 そのまま、ネルはB級少女漫画のように、涙を流しながらディプロの遥か
彼方へと走り去っていった。
 そして、俺はディプロの内部で、この腰にタオル一丁という格好で約30分
ネルと追いかけっこする羽目になった。










 次の朝。
俺は、体に重みと暑苦しさを感じて目を覚ました。
胸の上にはマリア。
両腕を引っ張るのが、ソフィアとネル。
両足を掴んでいるのが、スフレとロジャー。
・・・変なところを握っているのがフェイト。
なるほど。どうりで体が重くて、暑苦しい訳だな。
それよりも、アルベルの××が俺の顔面に当たっているのが気に喰わな
かった。









FIN





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ちょっとあとがき
なんなんでしょうか・・・
とある超素敵サイト様の影響で
再びクリマリ(マリ→クリ)熱が急上昇しています今日このごろ^^
で、出来たものがこれかい(汗)

決して、タオル一丁のクリフが書きたかった訳では・・・
昔、ボツにしたネタのリメイクでした^^