Love Around




 突然の出来事だった。
クリフがアーリグリフへ行く事になった。
どうやら、何かのセミナーが行われるらしい。
他のメンバーもついて行こうとしたが、クリフだけが呼ばれているらしく
同行することを、クリフは拒否した。
そして、クリフは一人でアーリグリフへ出かけて行った。

 他のメンバーはぺターニでクリフの帰りを待つことになった。
フェイトとロジャーはファクトリーで怪しげな開発を。
ソフィアとアルベルは甘いものの食べ歩きに。
スフレとネルは楽しくおままごとを。
マリアは〆切が近いらしく、何かの原稿を仕上げたりして、クリフの居な
い退屈で無意味で生きた心地のしない時間を潰すことにした。











______アーリグリフ



 城の前まで着いたクリフは、インターホンを鳴らす。

「俺だ。クリフ・フィッターだ。」

「フォフォフォ。待っておったぞ。」

 インターホンのスピーカーから聞こえてきた声の主はウォルター・ジジイ伯爵
である。それから、10秒ほどして、ウォルターがクリフの前に姿を現した。

「待っておったぞ若僧よ。ついでに、ワシはウォルター・ジジイと言う名前では
ない。」

「んなこた誰も言ってねえよ。」

「まあ、とにかく入りなされ。」

 そう言って、ウォルターがクリフを手招く。

「おっと、そのまえにアンタに土産を持ってきたんだ。」

「ほう。」

 そう言って、クリフはクマしゃんのリュックサックを肩から下ろして、ジッパー
を開ける。ウォルターの目も年を感じさせないほど鋭くなり、警戒心を強める。

「ああ、これだ。金沢名物のあんころもちと、女子高生なんたらという本だ。」

 それらを取り出し、ウォルターに手渡す。

「これは、これは。わざわざすまぬな。・・・さすがは、アルベルが認めた男じゃ
のう。」

 クリフは自信満々な笑みを浮かべる。

「今日、おぬしを呼んだのは、他でもない。アルベルのことでじゃよ。」

「まっ、そんなこったろうとは思ってたぜ。」

「まあ、とにかく入りなされ。」

 クリフは城の中に入り、ウォルターの部屋まで案内される。
だが、あまりもウォルターの速度が遅いので、とりあえずクリフは殴った。

「で、何なんだ、セミナーってのは?」

 ウォルターの小汚い部屋で、クリフとウォルターは向かい合う形で座っている。
所々に飾ってある、お土産らしきちょうちんが、いい趣味のモノだとは言えな
かった。

「フォフォフォ。『アルベル・ノックス困った時の対処法』についてじゃ。」

「なるほどな。で、何故俺だけが呼ばれたんだ?」

「どうやら、アルベルはおぬしのコトだけは信頼して、なついとるようじゃからの。
それに、他の奴らは色々な意味で信用できん。本当に色々な意味での。」

「高い評価は感謝するぜ。そいじゃ、さっさと始めようぜ。」









 そして、ウォルターによるセミナーは開始された。
それから20分。

「ところで、ちゃんとウサちゃんは与えてやっておるか?」

「ああ。それも心配にはおよばねえぜ。アイツ、ウサちゃんを抱いてねえと眠れ
ねぇからな。ウサちゃんが無い場合は、ライオンちゃん、もしくは、この俺が絵本
を読んでやらねえとダメなんだろ?」

「うむ。完璧じゃ。」

 そう言って、ウォルターはクリフの湯飲みにポカリスエットを注ぎ足す。

「では、じゃがりこについては、何味を与えておる?」

「あ?じゃがりこ?たしか、グラタン味だったと思うが・・・」

「フッ。お主もまだまだじゃな。」

「じゃあ、何味がいいんだ?」

「サラダ味じゃ。あやつはアレじゃないとあまり喜ばんからの。」

「サラダ味ね。気が付かなかったぜ。」

「ホレ、さっさとメモらんか。」

「はいはい。」

 そして、その後もウォルターによるセミナーが続いた。









「それじゃ、次回は一週間後じゃ。内容は『アルベル・ノックス不機嫌なときの
対処法』じゃ。忘れるでないぞ。」

「ああ、わかった。」

「それと、これは最近発売された新しいタイプのヨーヨーじゃ。あやつ、ファッ
ションセンスは最悪じゃが、小学生の遊びの流行には驚くほど敏感じゃから
な。これも、持っていきなされ。」

「何から何まで、ワリィな。」

 そして、クリフはこのクソ寒いアーリグリフを後にした。












 パルミラ平原を通るころには午前3時を回っていた。
あたりは真っ暗。

「アイツら、もう寝ちまっただろうな・・・」

 やっとこさ、ぺターニの前まで着いた。そこで、クリフの見たものは・・・
なんと、ぺターニの南門には『おかえりなさい!クリフ・フィッター(36)』
と書かれた垂れ幕が垂れ下がっており、その下で、他のメンバー7人が
眠そうな目を擦りながら、並んで待っていた。

「お前ら・・・」

 ネルが走り出す。
”・・・もう、二度と会えないかと思っていたよ”と、言ってクリフの胸へと飛び
こんでいった。それは、大袈裟すぎだ。とクリフはツッコミを入れて、ネルの
頭をなでなでしてやる。

 そして、アルベルにウォルターから受け取った新発売のヨーヨーと、クリフ
が途中でコンビニで買ってきた真新しいピカピカのウサちゃんを渡した。

「ウォルターからの土産だ。それから、こっちは俺からのな。」

 アルベルは、それらをジッと見つめた。

「・・・阿呆が、それが余計なお世話というものだ。」

 そう言いながらも、アルベルもクリフに抱きつく。
ネルとアルベルがクリフにくっ付いて離れない。
クリフにとっては、かなりウザかった。

 それを寂しそうに、見ている他5人。

「お前らにも、ちゃんと持ってきたぜ。」

 さらにクリフは他5人にも、お土産を渡した。(チョロQ一個ずつ)
みんなの笑顔が咲き乱れて、さらに5人がクリフに抱きつく。
クリフは、本当にかなりウザそうな顔をしていた。

「・・・あたしには、何も無いのかい?」

 ネルが寂しそうな声で言う。

「心配すんな。ちゃんとお前にも用意してあるぜ。」

 そう言って、クリフはクマしゃんのリュックから、大きなカエルしゃんの
ぬいぐるみを取り出して、ネルに渡した。
ネルは照れながらも”ありがとう”と言って更にクリフを強く抱きしめた。
クリフは本当にかなり、相当、メチャメチャウザそうな顔をして、窒息しそう
になっていた。

 そして、ぺターニの街のど真ん中、8人は『はないちもんめ』を始めだした。

 その光景を、度々通る人に奇怪な目で見られながら、月に見守られていた。





FIN



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ちょっとあとがき
シングルCDのカップリング曲みたいな感じです(どんなやねん)
何だか、終盤の部分を書いていてジーんときました。(アブね〜)
みんなに愛されまくっているクリフ^^愛・愛・愛!