サバンナ





 首筋をグロテスクな有機の蟲のように這い回る生暖かい唇と舌。
聴覚にとらええる、自我を刺激する小さなあえぎの声。下着を下ろ
され、そこを覆うものなど無くなったネルの局部を、クリフは指を器
用に動かして、内側と外側から刺激を与える。
 二人、足を床につけ立った姿勢のまま。クリフは捕らえた獲物か
ら味を引き出すように、指と唇でネルを煮込む。クリフに煮込まれ
るネルの本能から性欲が引き出され体は熱を帯び、唇から声をこ
ぼす。

「……じゅいぶんといい声出すじゃねえか。あんなにイヤがってた
のによ。」

 耳元でささやかれたクリフの声に、ネルの恥じらいは高まる。下
から来る快感で震える足を倒れてしまわないように、色あせいく力
で必死に耐えた。
 けれど、クリフはそんな彼女の姿勢を見て喜ぶように、そこを巧
みに指で責めつづける。そこから漏れ出す液体が、動き回る指を
伝い、滑り落ちいく。

 乱れた衣服にさらけ出された『肌色』。クリフにとってそれはあま
りにも美しい。…だから、汚したい。それからクリフは、片方の胸の
ふくらみを優しく揉みながら、興奮して尖ったその先端を親指でつ
めりいたぶる。もう片方に、何度も何度も吸い付くようにキスをし、
到達した突起を噛み付くような勢いでしゃぶりついた。

 口に含み、舌先で弄びながら、指でいたぶるほうに少し力を入れ
れば、それに合わせてネルは声を上げる。クリフはそれが悪戯に
おもしろく、、そうやってそのまま遊ぶように責めつづけた。











☆ ★ ★ ★ ☆



 ついさっき……。

 場所はシランド城の図書室。
 日はとうに球体の反対側へ行き、空は黒色。この部屋の至る所に
知識の詰まった書物が並べられており、昼間でさえ静かなこの空間
は、夜にもなればいっそう静けさを増す。

「あんた…何してるんだい?」

 ちょうどネルが、図書室の前を通りかかると、部屋中に気配を感じ
この時間にこの場所で気配を感じるのも不審に思い、図書室の中を
覗き、その気配を確認してみた。

「おう。まあ、特にすることも無えし、本でも読もうと思ってな。」

 ネルの目に入ってきたのは、それはそれで不審な光景だった。
暗い部屋の中、大きな机の小さなランプの灯りだけをたよりに、一
冊の本を真剣に読みふける、クリフの姿だった。

「あんたが…読書?」

 見てはいけないものを見るような目でネルは言った。それだけ彼
が読書をする姿は、ネルにとって珍妙なものだった。

「ああそうだ。オレはこう見えてもなかなか勉強家なんだぜ。」

 自信たっぷりにクリフが言う。

「……あっそう。」

 と、そんなクリフの言葉を軽く無視して、部屋から立ち去ろうとす
る。実際、クリフの職業などを考えればかなりの勉強家なのかもし
れないが、何故かクリフ本人が勉強家だと言ってしまえば、その説
得力は無くなっていく…。ように感じた。

「まあ、待てよ。」

 クリフが目の前を立ち去ろうとするネルの腕を掴み、引き止め
る。

「お前に一つ、お願い事があんだけどよ。」

「な、なんだい?」

 ネルの中の野生の勘が、最大限に警告を発する。

「一発ヤらせろ。…ここで。」

 まだネルはしっかりと理解できてはいなかった。夜間、自分に
とって何が一番危険な存在かを。
 『大自然の摂理』と題された本が、パサリと床に落ちた。
自分の体とモラルを守ろうと、力でクリフに抵抗するが、夜の獣
と成りいくクリフへは意味なんて無かった…。





 ☆ ★ ★ ★ ☆




 プライドの檻に押し込まれていたネルの本能が、知性高く凶悪
な金の野獣に巧妙な挑発を繰り返され、檻を破り野獣の指に絡
みつく。

「お前の味だ……知ってるか?」

 そうささやいて、クリフはべとべとになったその指をネルの口
へと進入させ、しゃぶらせ、指についた自らの味を確認させる。
 酷く淫らな蜜の味…。何処かでそれが理解できる。クリフにと
って天然の媚薬。彼女の太腿に垂れた残りを、クリフは舌で舐
めとる。そして、ネルを自分の前に跪かせる。

「こんどはお前がやってみろよ。その舌で。」

 下げられたジッパー。突き出した太く硬い獣。ネルは目を閉じ
それを掴み、頬張った。
 舌。熱い舌。まだ不器用な舌先で、線をなぞり、唾液を絡みつ
かせて舐め上げて。
 上から見下ろすクリフ。ネルの髪の間に手を入れ、撫でて楽し
む。下の方で絡まるねっとりとした熱い感触が、深い性的快感を
もたらす部分につけば、髪を撫でる手に少し力を加えて、まだ知
識の少ない下の彼女に教えてやる。

………………。

 しばらくして、クリフは奉仕するネルの口を引き離して、彼女の
体を机の上に寝そべらせた。クリフは愛撫を続けながら言う。

「もう…、欲しくてたまらねえんだろ?」

 クリフのその問いに顔を歪ませ、吐息を荒くしながらネルは首
を小さく縦に振った。それに応じてクリフは先の方だけを内部へ
と入れた。

「それで、どうして欲しいんだ?これを。」

 ゆっくりと焦らすように先だけ進入させたそれを手で動かしな
がら意地悪そうに再び問う。早くすぐそこにある快楽が欲しくて
ネルは腰を動かすけれど、クリフはそれ以上進もうとはしない。
 クリフが望む、簡単な言葉を言えばたどり着けるのに、僅か
に残るプライドがそれを留める。口から出るのは吐息だけ。

「はあはあ言ってるだけじゃわかんねえだろ。ほら、言ってみ
ろよ。」

 その獣がささやく声に、ネルのプライドは噛み殺された。

「…早く…、、、…奥ま、で…」

 甘い声で鳴く肌色の獣に、クリフのモラルは喰い殺された。
熱くキスを一度交わした直後、クリフは一気に突き進んだ。
それと同時に張り裂けたように鳴き声がこの空間に響いた。




 『男と女』が、進化しすぎた『雄と雌』へ変わり行く。










おしまい


戻る

今回は、とくに深い意味もなく軽い感じでいってみました。
そんで一貫したテーマもつけてみたりして。
そんな鬼畜にならなかった。