Pa/ra/no/i/a






 フェイトを中心とした変態集団は、ブレアという人からオーナー
のいる空間へ行くためにはセフィラが必要だと聞かされた。
 それで、「クレアに会える!!」といって喜ぶ2名(アルベル、ネル)を含む
6名はイヤイヤながらも、ディプロでエリクールへと向かうことになった。

 そのディプロのうちの客室の一室には、とてつもなく重く、暗く、痛い
空気が充満していた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 その部屋にいるのは普段から見るのも痛いくらい仲の悪すぎる男女、
ネルとアルベルの二人だった。
 何故、そんな二人が一つの部屋に二人っきりで居るのか・・・
 それは、惑星ストリームから田舎惑星エリクールへと移動に要する時間
は本来30分もあれば行けるのだが、クォークは今月赤字のため燃料代
をケチり、30分で行けるところを12時間かけて、低燃費飛行で行くことに
なった。
 
 さすがに12時間も暇なので、このパーティの変態クイーンことマリアが
また下らないことを企画してしまった。

「ネルとアルベルの親睦を深めるために、エリクールへ着くまでの間、一緒
の部屋で過ごしてもらうわ。拒否したらその辺の惑星に燃えるゴミとして捨
てるから。二人とも。」

 と、会議室でマリアに言われた。もちろん二人とも反対したが、マリアが銃
を一発、たまたまその場でストーカー行為をしていたリーベルに放ち、彼に
全治一週間の怪我を負わせ、「逆らえばこうなるのよ」ということをネルとア
ルベルの二人に知らしめた。
 そして、二人はイヤイヤ了承したのだった。

 会議室から出ようとするときも、アルベルが先にドアを抜けようとしたら、
ネルが「あたしより先に出るんじゃないよ」と言って、彼の髪の毛をひっぱり
腹に三発膝蹴りを入れていた。アルベルも反撃をしようとしたら後ろでマリ
アが銃口を向けていたのでやめておくことにした。それからネルはアルベル
の髪を触った方の手を念入りにシャボネットをたっぷりつけて洗っていた。


















・・・と、ここまで仲の悪い二人が、今一つの部屋に二人きりで居る。

「・・・・・・・・・おい。」

「・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・おい。」

「・・・・・・・・・・・・・・」

 アルベルはベッドに腰をかけ、机に向いアルベルに背を向けて椅子に
座っているネルに言う。ちなみにネルが堂々と人に背を向けるのは、
よっぽど信頼している人間か、よっぽどナメ腐った人間のどちらかである。

「おいと言っているだろ!!」

「・・・なんだい?アンタの声があたしの耳に入るたび鼓膜が腐食していき、
そのうちアンタの脳みそみたいに完全に腐ってしまうから話しかけないで
くれるかい。」

「・・・チッ、俺だってお前のそのトマトが腐ったみてぇな赤い頭と、その恥ず
かしいくらいダセェ模様を入れた、色気の欠片もまったく無えのに人に自慢
するように見せびらかしているフトモモが目に入るたびに俺の目が腐ってい
ってしまうぜ。」

 アルベルもがんばって言葉で反撃する。

「あら、奇遇だねぇ。あたしもその白髪染めをしようとして途中で染め粉が無
くなってしまったような貧乏臭い頭と、男のくせにスリット入りまくりのスカート
を履いてる変態男の足と、マゾっ毛でもあるのか知らないけどその首輪と、
ブザマな腹踊りでもするようなへそだしルックを見るたびにあたしの目も腐っ
ていきそうだよ。」

 ネルは「まあ、あんたの目は元々腐っているけどさ」と付け加え、椅子から
立ち上がり、引き出しから一本のチョークを取り出した。
 するとネルは、無言でそのチョークを使って9:1の割合で部屋を分けるよう
に線を引いた。

「この線からこっちがあたしの領域で、そっちがあんたの領域だよ。・・・あた
しの領域に入ったら殺すからね。」

 と、ネルがベッドやテレビを含むこの部屋の10分の9をとるスペースに入り
言う。アルベルはゴミ箱だけがあるこの部屋の10分の1しかないスペースへ
と滅菌手袋をはめたネルに追いやられた。

「・・・おい、何で5対5にしねえんだ?」

「これが、アンタとあたしの存在価値の差だよ。」

「テメェ!何てこと言いやがる!」

 本当に地味でとんでもないことを言うネルにアルベルは反抗しようとしたが
思いっきり無視されてしまった。

「ああ、それから・・・クレアのことを考えていたら・・・それでも本当に殺すよ?
(ああ、早くこんな馬鹿と離れてクレアに会いたい)」

「考えるだけでもダメなのかよ!!このキチガイ女が!!(ああ、早くこんなキチ
ガイと離れてクレアに会いてぇ)」

 更に恐ろしくとんでもないことを言ったネル。そんな事を言われて考えないとい
うほうが無理である。
注)アルベルはクレアをこのすさんで腐食した世の中に舞い降りた、たった
一人の汚れ無き聖なる天使だと思っており、現在片想い中です。

「もちろん、あたしを襲おうとしても殺すよ?」

「誰がテメエみてーなキチガイを犯すか!!」

「アンタみたいに、しずかちゃんの入浴シーンで鼻血をだして興奮するような
奴には用心しないとね。」

「ちょっと待て!・・・なんでその事をお前が知ってるんだ!?」

「あたしたちの内通技術をナメないでほしいもんだね。アンタたちの国みたい
にミッションインポッシブルのテーマを流しながらやってる何処かの国とは違う
からさ。」

「・・・・・・・クソ虫が。」

 ネルは何処かの国と言っているが思いっきりアンタたちの国と言っていたこ
とを忘れていた。更に「クソ虫はアンタだろ」と前々から一度言ってみたかった
事を言いちょっとご満悦だった。それがアルベルの心に響いたのか彼は少し
涙目になっていた。




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