それから、とくに会話も無いまま一時間がすぎた。

 ベッドにゴロンと寝転び、面白くない番組が入ってるテレビを見ながら
かっぱえびせんを口へ頬ばっていたネルは、ふとアルベルがやたらと
静かなことに気づき、彼の方をちらりと見る。
するとなんと、彼は本を読んでいた。

「・・・・・・アンタ、何を読んでいるんだい?」

「・・・・・・本だ。悪いか阿呆。」

「アンタは馬鹿か。あたしはアンタの鮭のたまご一個分くらいしかない脳
みそで何の本を読んでいるのか聞いてるのさ。」

「・・・フン。何だっていいだろう。お前のそのウズラのたまご一個分くらい
しかない脳みそで考えやがれ。」

 ネルは少し腹が立ってアルベルの読んでいる本を奪い取った。
ちなみに、鮭のたまご一個分と、ウズラのたまご一個分ではまだ、ウズラ
のたまごの方が大きい。

「なに?・・・『動物とつきあう』?」

「かえせ!!」

 アルベルは短刀を突きつけられたまま叫そうぶ。

「あははははははは!アンタなんてものを読んでるのさ!動物とつきあう
だって?アンタ馬鹿すぎだよ。どんな動物もアンタのそのヘソやらフトモモ
やら見た瞬間逃げ出してしまうよ!だいたいアンタすでにフェイトとマリア
の飼い犬じゃないかい。それに、この作者のノエル・チャンドラーといえば
異常動物愛に生きたサイコな細目人だってマリアに聞いたよ。あははは
ははは。アンタは『小学四年生』でも読んでいればいいのさ!」

 ネルはアルベルに恐ろしく似合わない本を読んでいたことがよほど可笑
しかったのか、大笑いした挙句、アルベルとその作者を馬鹿にした。

「このキチガイが!ノエル大先生を侮辱した罪はテメェの命に値するぞ!
・・・だいたいテメェだって『恋はロマンス』やら『あなたしか見えない』やら、
やたらと似合わねぇモンを読んでいるじゃねえか!」

「ちょっとアンタ!何で知っているんだい!?」

「フン。あのクソ虫(フェイト)から聞いた。」

「・・・アイツか・・・(何故知ってる!)」

「しかし、お前みたいなキチガイ女があんな少女趣味まるだしの読んでる
こっちが恥ずかしくなるような本を読むとはな!!フハハハハハハハハ!
お前、気色悪ィよ!クレアならまだ良しも。」

「アンタ!よくもレナ大先生が書いた本を馬鹿にしたね!・・・・・おや?」

 ネルは何かに気づいた。

「なんでアンタが少女趣味まるだしだってことを知ってるのさ?」

 ネルはそう言うと、アルベルの笑いがピタリと止まった。

「・・・・・・・・・・タ、タイトルでわかるだろ。そんなもの。」

「しかもアンタ、読んでるこっちが恥ずかしくなるって言わなかったかい?」

「・・・・・・・・・・言った覚えはねぇ。」

「・・・・・読んだことあるんだろ?笑わないから正直にはなしてみなよ。」

 ネルはいつもの涼しげな表情をして、冷や汗ダラダラなアルベルに言う。

「・・・・両方読んだことがある。三回もな。」

















































あはははははははははは
アンタの方がよっぽどキモイよ。男のアンタが何を読んでいるんだい?
両方?三回?誰がそこまで暴露しろと言ったのさ?やっぱり、アンタの
脳みそはししゃものたまご一個分しかないよ!あはははははははは。」

「・・・・この阿呆の、クソ虫の、キチガイが・・・」

 ネルは普段見せることのない、白目をむいたマヌケ面で大笑いしながら
床をのたうちまわっていた。普通なら共通する趣味がみつかれば仲は少
しは良くなるのかもしれないが、この二人の場合はますます溝が深くなって
いった。
 そして、ネルが床をバンバン叩いてると、その衝撃で机の上に置いてあっ
た花瓶が倒れ、流れ出した水がネルを目掛けて滴り落ちてきた。

「ちょっと!アンタのせいであたしの服が濡れちゃっただろ!」

「俺のせいかよ!クソ虫!!」

 それからネルは、アルベルの頭に花瓶をぶつけ、着替えてくるのだろうか
この部屋を一時的に出て行った。
 それからアルベルは頭をおさえながらこの部屋を見渡すと、さっきまでネル
がゴロンと寝転がっていたベッドに一冊の書物を発見した。

「日記か?」

 どうやらそれは、ネルが毎日つけていると思われる日記帳のようだ。
現在、この部屋に彼女は不在なので、アルベルはチャンスだと思いその日記
帳をめくる。

 そこには、とても可愛らしい丸文字で、とても普段の彼女からは想像も出来
ないような、色々な意味で恐ろしいことが書いてあった。




















×月×日 多分晴れ

やっほー(^o^)クレア!元気かい??今日は『すふぃあしゃ』っていうところ
に行ってきたんだよvvそしたらヘンなメガネをかけたとってもアヤシイひと
がでてきたんだ〜。なんだかこの人キーモーイーよ〜(/o\)
ソレと戦闘中もどこかの変態サンの下着が見えてこれもキモイ〜(/o\)

追伸:『じぇみしてぃ』というところでおいしいお菓子が売ってたからおみや
げに買ってくるねヾ(´ー`)ノ













































フハハハハハハハハ
阿呆かあのキチガイ女は!」

 アルベルはネルの以外すぎるに日記がそんなに面白かったのか
馬鹿うけしている。

「アンタ、何をそんなに笑っているんだい?」

 ワインレッド(あずき色)のジャージに着替えたネルが入り口に立ち
手を腰にあてながら、笑い転げるアルベルに言う。
 そして、アルベルの持っている日記帳が目に入った。

「ア、アンタ!あたしの日記帳を見たっていうのかい!!?」

「フハハハハ!お前の日記帳はおもしろかったぞ!!
フハハハハハ!阿呆が!」

 ネルは笑い転げるアルベルの顔を踏み潰し、その恥ずかしい日記帳を
彼の手から奪い取った。

「ああ、もう最悪だよ!アンタなんかに日記を見られてしまったから、もう
クレアのところへ嫁にはいけないじゃないか!」

 と、ネルが目に涙を浮かべて言う。
アルベルは「もともとクレアの嫁にはなれねえだろ!」とか思ったが言うの
もめんどくさかった。

「ひっく・・・ひっく・・・うわ〜んクレア〜クレア〜クレア〜びぇ〜ん!!」

 そしてネルはそのままいきなり泣き出して床をのたうちまわった。
それは、アルベルに日記を見られたからでなく、しばらくクレアに会えなか
ったため、突発的に彼女特有の禁断症状がでてしまったのだ。
 彼女の持病の名は『クレア依存症』である。

「キモイから泣くのはやめろ!このドグサレ両刀使いが!!
・・・俺まで泣きたくなっちまったじゃねーか!!」

 そして、アルベルはネルが泣き叫ぶ姿と、愛しい女性の名にに反応して
貰い泣きをおこしてしまった。

「うっ・・・うっ・・・クレア〜クレア〜うぇ〜ん!!」

 アルベルもネルと同じように床をのたうちまわりだした。
 あずき色のジャージを着た23歳の女性と、へそを出した24歳の男性が
一人の女性の名を泣き叫びながら連呼し、ところせましとこの部屋をのたう
ちまわっていた。
 それはまるで、地獄絵巻か、精神科病棟の一室のような光景だった。














































 その様子を別室のモニターで見ている二人の、サラリとした青い髪の
二人の男女がいた。

「う〜ん。実験は失敗だったようね。」

「失敗どころか余計仲が悪くなってるじゃないか。しかも二人とも狂いだした
し。・・・まあ、見てておもしろいけどさ(ニヒッ)」

 そして、女の方が通信機のボタンを押した。

『はい』

「ミラージュ?マリアよ。ちょっと近くの惑星に寄ってほしいんだけど。」

『どうかされましたか?』

「ええ。自然廃棄物を二つ捨てていきたいから。」

『了解』









 が、さすがにそれはクリフによって阻止された。
その後、アリアスへ行き喧嘩しないようにとクレアの写真をとって二人に
持たせることにした。

「アンタが持ってると何に使うかわかったもんじゃないから没収だよ!」
バキッ
「グハッ!テメェかえしやがれ!このキチガイの阿呆のクソ虫が!!」






おわり




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ちょっとあとがき
ふたりともごめんなさい。
映画の「es」を見ていて思いつきました。(話全然ちがうけど)
一体何がやりたかったんだろう・・・