Revive





 心の中でヤツがいつも笑ってる

 そんな瞳で俺を見下ろすな


 アルベルの心の中でフェイトがやらしい笑いを浮かべる。
彼はこのウルザ溶岩洞の最深部で、全長10メートル以上の巨体をした
竜である、クロセルを強引につき合わせ、フェイトをケチョンケチョンにする
ための修行を一生懸命していた。

「クソ虫!クソ虫!クソ虫!クソ虫!」

 アルベルは”クソ虫”を連呼しながらこの場所に設置されている冷蔵庫を開
け、麦茶を取り出し、一気に飲み干す。

「”僕にも弱いものイジメの趣味は無いんだ。彼と一緒でね☆”・・・ふざけんな
クソ虫が!!」

 フェイトのまねを一つして、アルベルは冷蔵庫のドアをバタンと閉めた。
その音だけがこの広い空間に虚しく響く。そして、気分転換にヨーヨーで遊ぼ
うと思い、奥へ取りに行こうとしたその時、

「こんにちわ。今、よろしかったでしょうか?」

 女性の声がした。

「・・・誰だ?」

 アルベルはそう言って後ろを振り返る。
後ろを振り返った瞬間、彼は目をまるくした。心臓が刻むリズムが加速する。
そこには女神がいた。クレア・ラーズバードである。
彼女から自分に会いに来るなんて夢にも思わなかった。
だけど、今この現実に、目の前に、彼女の姿がある。

「・・・・・・・お前か、何をしに来た?」

 気持ちとは裏腹に口から出るのはそんな冷めた言葉。
アルベルは自分の性格を憎んだ。今の言葉で彼女が気を悪くしたんじゃな
いかと心配になり、心臓が刻むリズムがまた加速する。

「ウォルターのジジイにあなたがここに居ると聞きました。それで友達が一人も
居ないあなたが心配になって来てみたんです。」

 クレアは笑顔でアルベルにそう返す。

「・・・あのジジイ、余計なことを。」

 そう口で表すが、本心ではジジイに感謝をしていた。
城に帰ったら、ジジイの肩叩きをして、背中を流してやろうと思った。

「・・・・と、ところでお前、今暇なのか?」

「あ、クロセルさん!」

 アルベルが決死の覚悟で聞いたことを、クレアはあっさりと無視をして、クロ
セルの方へと駆け寄る。

「あのときはお世話になりました。それにしても、随分と不細工ですね。」

 クレアはそう言い、頭を深く下げた。

「余計ナオ世話ダ!トコロデ貴様ハ・・・」

「あ、そうでしたアルベルさん。」

 クロセルが何かを言おうとしている途中で、クレアがアルベルの方をくるり
と向く。

「聞ケヨコノアマ!!」

「はい。なんでしょうか?」

 クレアは再びクロセルのほうを向く。

「・・・ソレデ貴様ハ」

「今日は、アルベルさんにお弁当を持ってきたんですよ。」

「無視カヨ!!」

 クレアは再びクロセルを無視して、アルベルの方を向く。
クロセルはそのまま腹が立って、何故か眠ってしまった。

「弁当だと?」

「はい。いつも自分が飢えて痩せているのを強調するように、お腹を出して
いるので、今日はお弁当を作ってきたんですよ。ちょっと待ってて下さいね。」

 クレアはそう言い、何処からか一段の弁当箱を取り出し、ふたを開ける。
そこには、玉子焼きや、タコウィンナーなど豪勢とは言えないが、平凡で一目で
手作りだとわかるものだった。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 アルベルはマジマジとその弁当を見つめる。
しっかりとそれを目に焼きつけ、クレアが作ったものだと認識すると、瞼が熱く
なり、雫が零れ落ちた。

「アルベルさん、どうしたのですか?また、誰かにイジメられたのですか?」

「・・・いや、なんでもねえ。」

「そうですか・・・。でも、一人で泣いているだけじゃ何も変わりませんよ。アルベ
ルさんには相談する友達が一人も居ないのですから、悩み相談室に電話してみ
てはどうですか?・・・それがイヤなら私でよければ相談に乗りますが・・・」

 何かを激しく勘違いしたクレアは、アルベルを優しくなだめる。
ただ、それが半分ほど事実なのも、また事実である。

「・・・そういう訳じゃねぇ。ただ・・・」

 ”嬉しくてよ”その言葉が、アルベルの無意味に高いプライドによって口から
出されるのを拒まれる。

「そうじゃないのですか?・・・あ、わかりました。イジメのストレスで胃の調子が
悪いのでしょう。かわいそうに・・・でも、胃の調子が悪いのでしたら、無理にとは
言いません。」

「・・・いや、本当にそういうわけじゃ・・・」

「クロセルさんパース!!」

 クレアはそう言って、アルベルの言葉を無視して、クロセルの方へ弁当箱を投
げた。クロセルは目を覚まし、弁当箱を口の中に一気に入れ、再び眠りについた。
その光景を見ていたアルベルの涙の意味が変わった。

「アルベルさん・・・どうして泣くのですか?」

「・・・・俺の弁当・・・」

「え?す、すいません。私ったら、あなたの事を何も考えずに・・・。昔、あなたの弁
当箱をイジメっこに取り上げられて”ほら、パ〜ス!!”とか言われて、イジメっこ
達が遊んでいたんですよね。そのトラウマのことを何も考えずに・・・本当に申し訳
ありません。」

 クレアはまた微妙な勘違いをしてあやまる。

「・・・気にするな・・・お前は悪くねえ。」

「じゃあ、もう少しも気にしませんね。あ、タイネーブにビデオを借りたんですけど
よろしければ、一緒に見ませんか?」

「・・・・ああ、かまわん。好きにしろ。」

 もちろん口ではそっけないことを言うが、彼の心の中では盛大なパレードが始
まっていた。そして、何故かあるビデオデッキにテープを入れ再生する。




約90分後
スタッフロールと同時にアルベルの涙が流れる。

「アルベルさん・・・泣いているのですか?」

「泣いてなんかいねえ・・・ただ、あの女の・・・井戸の外へ出たいっていう願いが
叶ってよかったと思ってよ・・・」

「そうですよね・・・私も感動しました。・・・本当に井戸の外へ出られて良かったで
すよね・・・そして、テレビからも出てきて、ちゃんと現実を生きていけるんですもの。
・・・本当によかったですよね・・・サダコさん。」

「・・・ああ・・・」

「でも、ネルったら”テレビから出てきたよ!あははは”なんて笑って楽しいコメディー
だったなんて言うんですよ。タイネーブなんて怖いホラーだったなんて言うし。」

「アイツらは障害者だ。」

「ほんとにあの子たちったらバカですよね。」

 ネルもバカだが、この二人もあきらかにちがう。一般的で常識的な感想を持ったの
はタイネーブだけであろう。

「・・・一つお前に聞きたいことがある。」

「何ですか?おねしょが治らないのですか?」

「ちがう。お前と、あの女はどういう関係なんだ?」

 必要以上なネルのクレアに対する態度に疑問を感じていたアルベルは問う。

「ネルは・・・私の相方で親友で幼馴染で妹みたいなもので食事係りで掃除係で
洗濯係りで図書委員で・・・それから・・・」

「・・・それから・・・何だ?」

 アルベルの心臓が激しく揺れる。

「あ、もう眠たいので寝ます。ちびまるこちゃんがはいる時間になったら起こしてく
ださい。」

「おい、それから何だと言うんだ?」

「・・・・すー・・・・すー・・・・」

 すでにクレアは夢の中を泳いでいる。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 アルベルは聞きたいことを一瞬忘れ、眠るクレアの髪を触ろうとする。
24年間生きてきて初めて触ろうとする女性の髪。緊張が走る。

「・・・・・・・よし。」

 何が”よし”なのだろう。
そして、ゆっくりと手を伸ばす。
その瞬間。

ウイ〜んウイ〜ん

激しい機械音が鳴り響く。

「何なんだ!!!」

 クレアが目を覚ます。

「ああ、これは誰かがわたしに触ろうとすると警報が鳴るようになっているセンサー
ですよ。ネルが設置したんです。」

「センサー!!!!!!(何だそれは?)」






























 そのころ変態戦隊。

「おい。お前の頭から何か鳴ってるぞ」

 マッチョイエローがオンミツレッドに言う。

「ああ、これかい?今、受信中なんだよ。」

「(受信?????)」

「・・・ウルザ溶岩洞だね?」

「何がだ!!」

「あそこまではここから5分てところか。」

「だから、何がだ!」

 アルベルの死期まであと5分。




おわり

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あとがき
すいませ〜ん!意味不明すぎました〜(汗)
アル→クレな感じがあまり出てませんでした。
何は、ともあれリクエストありがとうございました〜!!
これからもいつか成就なアル→クレストーリーがんばります。