咲き乱れる想い



「お前らに相談がある。」

 それは、いつもの午後の出来事だった。
ここ、ディプロにある会議室でパーティの女王マリア様とその下僕で
あるクリフが今後の方針について話し合っていると、突然ドアが開き、
このパーティの中で最も権限の低い人物であるアルベル・ノックスが
そう言いながら入ってきた。

「ところで、アイツ(フェイト)は居ないのか?」

 アルベルが周囲を見渡して言う。

「ああ、アイツなら確かスティングと一緒に風呂に入ってるはずだぜ。」

 クリフはアルベルにそう言うと、アルベルは無表情の中にものすごく
ホッとしたような雰囲気を出し、「そうか」と言ってクリフとマリアの前の
席に腰を下ろした。

「それにしても珍しいわね。あなたが私達に相談だなんて。」

 興味を持ったマリアがやたら嬉しそうに言う。

「それにしてもお前が俺達に相談なんて一体何の相談なんだ?まさか
好きな人が出来ました。なんてんじゃねーだろーな?」

 クリフが頬杖をついてダルそうにアルベルに言うと、アルベルの顔が
少し赤くなり、下を向いて沈黙モードに入ってしまう。

「まさか・・・図星なの?」

 マリアが持っていたじゃがりこを口の中に運ぶ手を止め、目を見開いて
言うと。アルベルはコクッっと頷いた。

「へっへっへ。それで誰なんだよお前が惚れた相手ってのは?」

 ニヤニヤしながらクリフはアルベルに問う。

「それはだな。・・・ク、ク、ク・・・」

「えっ?クリフなの?アルベル・・・あなたってそっちの気があったのね。」

 マリアが口に含んだじゃがりこカスを飛ばしながら大きな声で言う。

「悪ィな。俺にはネルが居るんでな。それにそういう趣味もない。」

「ちがうわ阿呆!」

 アルベルは席を立ち刀をブンブン振り回して言う。

「まあ落ち着けって。そこにガリガリ君が入ってるからそれでも食えよ。」

 クリフはアルベルの後ろに設置されてる冷蔵庫を指差し言うと、アルベル
が「わかってるじゃねえか」と言って冷蔵庫の上の段からガリガリ君(ソーダ味)
を取り出して席に戻った。

「で、一体誰なの?」

「・・・ク、ク、ク・・・・」

 再びマリアはアルベルに問いかけるが、ガリガリ君を口に入れたまま、
やはり最初の「ク」の字しか彼の口からは出てこなかった。

「え?クロセル?アルベル・・・あなたってかなり鬼畜なのね。」

「またちがうわ阿呆!だったら俺はまだそこのデカブツの方がいいわ!」

 アルベルはマリアの宇宙一周するかのような勘違いに自暴自棄になって
ぶちキレ、今度はガリガリ君を振り回す。一方クリフはフェイトと違ってノー
マル性質なのでその言葉を聞いて口に含んだブラックコーヒーを垂れ流し
ていた。

「す、すまねえな。俺にはネルが・・・」

 クリフは垂れ流したコーヒーを花柄のハンカチで拭きながら言う。

「そんなことはわかっている阿呆。だいたい毎晩お前ら(クリフ&ネル)が
発情している声を聞かせられるこっちの身にもなってみろ!あの女(ネル)
の声で眠れやしねえ!それどころかその声に反応してアイツ(フェイト)が
俺の部屋まで来て「今夜は僕と一緒に寝ないかい?」とか言ってきやがる!
そして、そこのお前(マリア)とあの小娘(ソフィア)!のぞくのはやめろ!!
そんなに俺とアイツ(フェイト)が一緒に寝るのを見て楽しいか!?だったら
毎晩寝てやるさ!フハハハハ!!」

 アルベルのテンションが上がったのか、ガリガリ君を片手に今まで募らせ
た、このパーティへの不満と一部意味不明な発言を口にしていた。

「最近俺達はやってねーよ!アイツが夜遅くまで「がんばれ森川君98号」を
やっててやらしてくれねーんだよ!!」

 クリフも席を立ち大声で暴露する。
現に、最近のネルは「なんだいあれは?」とフェイトがやってたTVゲームに興
味を持ち、クリフがネルに教えてやるとそのままはまってしまったらしい。
 それよりも、こんな会話を本人に聞かれると間違えなくアルベルとクリフは
殺されていただろう。幸いこのパーティの世話係その1である彼女は世話係
その2のソフィアとともに厨房で夕食の準備をしているため聞こえてはいなか
った。

「別にいいじゃない。クリフは一ヶ月お小遣い無しにするとして、私達は楽しま
せてもらってるわよ。それにしても、フェイトのことが好きだったのね。応援する
わよ。」

「ああ。俺も応援するぜ!(何故俺が一ヶ月お小遣い無しにされるんだ?)」

 クリフとマリアは揃って親指を立てて言う。

「いや待て阿呆!」

 アルベルは否定しようとするがその声は二人に届かず、部屋割りは一緒に
しようとか、明日は赤飯にしようとか勝手に二人で話を進めていた。

「待てと言っとるだろ!俺はクリムゾンブレイドのクレア・ラーズバードに惚れて
んだよ!」

 やっと言えた。

「なんだフェイトじゃないのね・・・(ガック死)」

「なんだ違うのかよ・・・(もうどうだっていい・・・」

「ところで誰なのクリフ?」

 クリフはマリアにクレアについて詳しく説明する。

「・・・ふーん。無理無理。あなたにはとてもじゃないけど合わないわね。暴走族
と図書委員の娘くらい無理ね。フェイトが居るんだからフェイトにしときなさい。
ってゆーか戦闘しか能の無いあなたなのにあなたはネルより弱いじゃないの!
その片割れの人なんだからネルと互角なのよ。イコールあなたより強いというこ
とよ。つまり、その人にはあなたは必要ないの。だいたいあなたはすでにフェイト
ごときに二回も負けてるのよ。あの受け顔に。まだミラージュに負けたってのなら
わかるけど。そんな過去をみんな知ってるのよ。だからいずれ彼女の耳にもその
情報は入ってくるわ。あなたの情けなさ過ぎる過去が。いまからでも遅くないから
フェイトと一緒にエリクールで生活しなさい。二度と戻ってこなくていいから。つい
でにクリフもおまけしとくわ。神様も酷いものね。」

「(お前の発言が一番酷い気がするが・・・そして、俺はおまけかよ)」

 マリアがそう言うとアルベルはこの世の終わりのような顔でガリガリ君をかじって
いることしか出来なかった。

「ま、まあ、お前らより人生永く生きてる俺に言わせれば素直に自分の気持ちを
相手に伝えりゃいいんじゃねーか?」

 クリフは、この空気をどうにかしようとかなり必死にそう言った。

「素直に自分の気持ちだと・・・・ブハッ」

 アルベルは何を考えているのか鼻血をふきだして、その後自分なりに礼を言い
この部屋を出て行った。

「それにしても、彼はどうやって自分の気持ちを伝えるのかしらね?」

「さーな。ま、アイツの無い頭でそれなりに考えてんじゃねーか?」

 その後クリフとマリアは今後の方針について話していることをすっかり忘れ、
TVをつけそのまま家族ドラマに見入っていた。








一方アルベルは・・・

「”好きだ阿呆”・・・いや・・・”愛してるぞ阿呆”・・・だめだ・・・”やらせろ阿呆”・・・
いや、ネルのやつに殺される・・・どうすりゃいい・・・ならば・・・
”俺はお前が好きだ!”・・・これだぜ」

 アルベルは心からの自分の気持ちを誰に言うわけでもなくその場で叫んでみた。
すると目の前には風呂上りで火照った体のフェイトが立っていた。

「アルベル・・・僕もおまえのこと・・・」

アルベルの恋はガリガリ君と一緒に溶けていくのか・・・







おわり・・・アルベルの恋は続く。



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ちょっとあとがき
珍しく下書きをしないでPCに直接書いてたらわけわからんものが出来てしまった。
そして本当にアルクレを応援してるのか疑いたくなる一品。(応援してます)
とりあえず、この話は終わりですがアルベルの恋は続く・・・よね?