愛されクリフ先生・第二話




 さあ、今日も情熱的な一時間目の授業が始まります。
今日からどの授業もクリフ先生が担当するのですね。
生徒達も、クリフ先生が居ない間に、窓ガラスを割ったり、教室でビールを飲んだり、 裸踊りをしたりして、その喜びを表現しています。
 クリフ先生も、愛する可愛くてかけがえのなくてファッキンな生徒達と、どの時間も 共有することが出来て、幸せで胃が痛くなりそうですね。

 そんな、フザケタ話をしているうちに授業は始まっているようです。




「大化の改新てのはだな。645年に、、、、、」

 そういえば、一時間目の授業はウォルターのハゲに代わって社会科でしたね。
クリフ先生も、スーツをラフに着こなしてとても教師っぽいです。
、、、、、、、あ、教師だったね。

「、、、、と、まあ、そんなところだ。何か質問のあるヤツはいるか?」

 クリフ先生がそう言いました。
すると、生徒達が全員勢いよく、一斉に手を挙げました。
”はーい!!はーい!!!”と、耳を劈くような爆音でみんな自己主張します。

「よし、それじゃ、マリア。」

 机をバンバン叩きながら手を挙げていたマリアがクリフ先生に指されました。
机を壊されたらたまったものじゃありません。

「はい!!」

 マリアはガッツポーズをとりながら、大きな声で返事して、席を立ちました。

「つまり、大化の改新というのは、こういうことよね、、、、、」

 マリアは質問的な内容ではなく、今回の授業で習った内容を述べていきました。

「、、、、で、いいかしら?」

 マリアが完璧な内容で述べ終わりました。

「あ〜、オレは質問があると聞いたんだがな、、、。だが、内容は完璧だし、ちゃんと授業を 聞いていたことに対しては褒めてやるよ。」

 クリフ先生が、そう言って、100万ボルトの笑顔をマリアに向けました。
すると、マリアはもんのすごーく満足そうな顔で席に再び座りました。
どうやら、最初からこれが目的だったようですね。

「他に質問のあるヤツは?」

 もちろん全員が手を挙げます。
そして、クリフ先生に当てられた生徒は、ちゃんと真面目に質問する者もいれば、マリアと 同じような発言をする者もいるようです。けど、みんなこの授業の内容は完璧になったようです。

みんな分からないところを先生に聞こうと手を挙げて、その中から誰か一名、クリフ先生が当てていくことを繰り返していたところ、


突然。


隅っこの方に座っていた、アルベルがバンッと席を立ちました。

「…くだらねえ。俺は帰る。」

アルベルはそう言いました。しかし、そんなアルベルを誰も気に留めず、みんな”はーい!”と手を挙げています。

「おい!アルベル!いきなりどうしったっていうんだよ?」

クリフ先生がアルベルに向かってそう言いました。
しかし、アルベルはクリフ先生の言葉を無視して、てってと教室から出て行きました。

「あ〜、お前ら、ちょっと待っててくれよな!」

クリフ先生は、生徒達にそう言い残し、アルベルの後を追う為、教室から出て行きました。
それから、クリフ先生が下駄箱まで来たところ、アルベルを発見しました。

「おい!一体どういうつもりだ!?いきなり、授業を抜け出すなんてよ?」

ねこちゃんの柄が入っている靴を取り出して、帰宅しようとしているアルベルをクリフ先生が引き止めます。

「、、、フン。俺はここの生徒じゃねえ。テメエには関係無いことだ。」

アルベルは、顔だけクリフ先生に向けてそう言いました。

「まあ、そうだけどよ。お前だって学びたいから、ああしてオレの授業に出てくれんだろ?」

「、、、別に。、、、ただの気まぐれだ。勉強なんざ、もう飽きた。」

 そう言ってアルベルは靴を履いてます。靴紐がうまく結べなくて困っています。

「ああ、そうかよ!勝手にしろ!、、、だが、その前に一つだけ教えてくれ。何が不満なんだ?」

クリフ先生は、アルベルに問いました。

「、、、、、、、、、、、。」

しかし、アルベルは答えませんでした。相変わらず、靴紐にてこずってます。

「教えてくれ!オレだって教師だ。生徒が不満を持ってんなら、それを解消していきてえんだ。」

クリフ先生は一生懸命、アルベルに自分の意見を言いました。
すると、、、

「、、、、なら、何故。何故、俺を当てない?俺が他校の生徒だからか?」

クリフ先生の熱意が伝わったのか、アルベルは言いました。
あのとき、アルベルも手を挙げていた。いつもは、恥ずかしくて手を挙げられないのに、
さっきは初めて勇気を出して手を挙げた。

「、、、そうか、お前も、、、手、、、挙げてたんだな、、、。」

「ああそうだ!!俺は初めて手を挙げた!!、、、だがお前は、、、」

悔しそうなアルベルが瞳に涙を浮べながら、言いました。

「すまねえな、、、。お前に気づいてやれなくてよ。……オレは教師として、もう少し修行が必要なようだな。」

 クリフ先生は、そう言って、俯きました。

「フン。お前は教師よりも人間として修行し直せ!阿呆。」

瞳に涙を浮べたままのアルベルが、クリフ先生に厳しい言葉を与えました。

「悪かったな。……努力すっからよ。」

クリフ先生は、今にも泣き出しそうなアルベルを、優しく抱きしめました。

「……また、オレの授業に出席してくれるか?」

アルベルの耳元でクリフ先生が囁きました。

「……お前の努力に免じて、出てやる。」

クリフ先生には見えませんでしたが、このとき、アルベルはクリフ先生の腕の中で、滅多に見せない笑顔を、確かにしていました。

それから、二人は、水を飲んでから、教室へと戻りました。



「クリフ遅い〜!!どこ行ってたの?」

教室で待っていた生徒が、ビービー愚痴を言います。

「ああ、わりいな。それじゃ、もうすぐ授業も終わりだな。」

クリフ先生が黒板の上に掛かっている時計を見て言いました。

「それじゃ、今日は最後に一人だけ。質問があるヤツは答えてやる。、、、質問があるヤツは?」

すると、当然のようにみんな手を挙げました。
クリフ先生が一通り生徒達を見た後、すみっこの方にその笑顔を向けました。






「よし!それじゃあ、アルベル。」

クリフ先生は、誰よりも、どの生徒よりも、天井へ高く手を挙げていたアルベルを指しました。
今日の、社会科は、終わりのようです。



つづく





戻るさ