SHAPE





 扉を開くと、天使がいた。
死の天使。
静かに体を貫く、圧倒的存在感。
妖艶な唇、金の長い髪、馬鹿っぽい羽。

「よく、此処まで辿り着いたわね。」

 形のいい、細い唇が動き、飾り気のない部屋の空気が揺れる。
空気を通してそれの恐ろしいまでの存在感が伝わってくる。

「やっぱり。片割れ、もう一人の天使も存在したのね。」

「うん。そうだね。(僕のタイプだ…)」

 マリアがマニアックなことを言ってる側で、フェイトは鼻血を垂れ流しながら
天使の足を凝視していた。

「あなた達は、私が持っているこの宝珠が欲しいのかしら?」

 天使がポケットから、手の平サイズの赤い玉を取り出して、チラチラと見せ
びらかす。その玉は吸い込まれそうなほど赤く綺麗で、100円のゴムボール
のようだった。
 が、そんな天使の言葉を軽く無視して、フェイトは天使に近寄る。

「僕はフェイト・ラインゴッドといいます。そんな安物の玉はいりませんから、も
しよければ、セクハラさせてください。」

 青少年スマイルでフェイトは天使にそういう。一瞬後、フェイトは黒焦げにさ
れ、口からは煙を吐いていた。

「こんな青臭いガキは私の好みじゃないの。」

 天使が冷たい微笑を浮かべながら、黒焦げになったフェイトを元の位置に
投げ飛ばした。

 そのとき、扉がウィーンと開き、二人の男が姿を現す。

「おっ、ここに居たのか?ずいぶんと探しちまったぜ。」

「クリフ!アルベル!」

 扉から現れたのは、クリフとアルベルだった。
アルベルが飲んでいる、クリフに買ってもらったと思われる、紙パックのバナ
ナミルクが、とても美味しそうだったので、皆羨ましそうに見ていた。

「何処行ってたんだよ?」

 黒焦げ姿から、すっかりと元の姿に戻ったフェイトがクリフに言う。

「ん?ああ。こいつとネルのやつが急に便意を催してトイレを探してたんだよ。
それで、遅くなっちまってよ。」

「へー。・・・・・・・ネルさんは?」

「あいつなら”クレアに電話をしたい”とか言ってたから、ロビーで電話でもして
んじゃねえか?」

 平然と言うクリフの言葉に、みんなは戦慄を覚えた。

「ちょっとクリフ!!あなた、ネルになんてことさせるの!分かっているでしょ?
彼女があの人と電話を始めると3日は終わらないことを!!電話代だってバカ
にならないのよ!!」

 マリアがカンカンになってクリフを怒鳴る。
実際、以前ネルがクリフの携帯電話からクレアに電話をかけたところ、3日ほど
終わらなかった。そして、膨大な額の請求書が送られてきたのだった。しかし、
ネル本人は30分程話しただけと言っており、クレアと話す時間の間は、時間の
流れというものを忘れてしまうらしい。

「まあ、いいじゃねえか。アイツも一週間くらいクレアと話してなかったみてえだし
よ。」

「まあ、いいけどさ・・・・」

「私のこと、忘れてるんじゃない?」

 天使が少しイラつきを混ぜた声で言った。その声に、フェイトたちは向きかえる。
たしかに、忘れていた。

「すいません。忘れてました。」

 フェイトはぺこりと猫をかぶったように謝る。

「わかればいいのよ。ところで、そちらのお方は?(まっ!なんてイイオトコ!)」

「えっと、大きい方がクリフで、へその方がイガミくんですよ。で、僕がフェイト・ラ
インゴッドです。趣味は・・・」

 フェイトの言葉を無視して、天使はパタパタと羽みたいなのを羽ばたかせてク
リフの方へと近寄る。

「あ、あの、私はイセリア・クイーンと申します。クリフさんでしたよね?も、もしよ
ければ、わ、私と社員食堂で一緒にきつねうどんでも・・・」

 どうやら、天使はクリフに一目惚れしてしまったらしい。しかし、クリフから返っ
てきた言葉は、そんな天使の乙女心を、ペッチャンコに踏み潰すような言葉だ
った。






「なんかよ、ミラージュにそう言われてるのみてーで、怖いもんがあるな。」






 クリフの口がそう発した瞬間、天使の顔が暗くなり、床に膝を落とした。

「そうよ!誰かに似てると思ったらミラージュよ!」
「うん。僕もそう思っていた。」
「俺もだ。」

 みんなそう思っていた。
声、顔、髪型、そして、静かながらも圧倒的存在感。
そっくりだった。

「だろ?オレも最初見たとき、ミラージュが変なコスプレをしてんのかと思って
たんだよ。」

 床に崩れた天使を見下しながら皆が笑う。

「・・・そんな・・・私の存在価値は一体・・・・」

 天使は涙をポロポロ落とす。
その時、また扉が開き、一人の男が姿を現す。

その男は、黒い顔にクリフと張るほどの筋肉質な体で、背中にリュックを背負
っていた。

「ベリアル!!」

 ベリアルだった。
彼は、みんなを無視して天使のもとへ歩み寄る。

「・・・・・・・・・・・泣くな。お前は、お前だ。」

 ベリアルは天使の肩に手を置き、不器用ながらも優しく声を掛ける。

「・・・・はい・・・ありがとうございます。」

「・・・・・・・・・私でよければ付き合おう。」

「よろしいのですか?」

「・・・・・・・ああ。」

 そして、天使はきつねうどんの食券二枚を握り締め、ベリアルと共に社員
食堂へと向かった。


「・・・・・・・いや、なんていうか・・・・」
「ええ、なんていうかね・・・・」
「意味不明な展開だな・・・・」

 皆、呆気にとらわれていた。

「オレたちも、・・・なんか食いに行くか?」
「うん。そうだね。」























 一週間後

「それじゃ、もう切るよクレア。・・・うん、また電話するよ。それじゃ。」

ガチャン



おわり

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あとがき
すいません〜意味不明すぎました〜(汗)
自分でも、なぜベリアルなのか分かりません〜。
イセリアさんが乙女ってるし・・・。

リクエストありがとうございました!!